ひまわりの育て方
1.作物としての「ヒマワリ」 |
●皆さまに栽培いただくヒマワリは搾油に適したパイオニア社「P63HE60」ハイオレイックタイプのヒマワリです。 ・ヒマワリの種はF1種で遺伝子組み換えではありません。種には発芽時の順調な生育を促すための着色種子粉衣剤(殺菌剤が)塗布されています。作業時は手袋を使用し作業完了後は手洗いをしてください。 ●ヒマワリは、欧米原産のキク科の作物です。 ●この品種は(生育条件が良ければ)草丈200センチ以上にもなり、養分吸収力が大変強いです。 |
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2.栽培条件 |
●ヒマワリは、比較的乾燥を好み、土を選ばずたいていどんな所でも栽培できますが、水はけと日当たりは良くなければいけません。 ●水はけが悪い場所では、畝を高くして種蒔きや苗の植え付けをしてください。 |
3.種まき前の準備 |
●畑や花壇では、種蒔きの1~2週間前に腐葉土や堆肥・肥料を混ぜて土を柔らかくしておきます。 ●養分吸収力が強く肥沃な土ならあまり肥料はいりませんが、消石灰を施し中性の土壌が理想です。 |
4.種まきの要点と注意点 |
●4~6月まで幅広く蒔くことができますが、適期は5月上旬~中旬です。 ●種蒔きの適期は、その土地のソメイヨシノが散って2~3週間後を目安とすると良いと思います。 ●ヒマワリを、5月上旬・中旬・下旬にそれぞれ播種した場合、収量性は同等ですが、播種時期が早いほど草丈および花の位置が低くなる傾向にあります。 ●畝幅70センチ程度、株間30~40センチとし、点蒔き(1~2粒蒔き、深さ1~2センチ)とします。 ・通路は管理機が通れるくらいの幅があれば良いでしょう。広すぎると土寄せや除草が大変です。 ●苗を作るときは、深めの育苗トレーに培養土を敷き、一粒ずつ蒔いて発芽させます。 ●種蒔き後は発芽するまで水やりをまめに行います。 ・発芽まで新聞紙を濡らしかけておくと保温にもなります。 |
5.病虫害対策 |
●搾油に適したこのヒマワリの登録防虫剤はありません。 ●乾燥するとハダニが付きやすくなります。また、近年キク科の植物に多く見られるグンバイムシ(軍配虫)の発生が見られます。土壌で行司が持つ軍配に形が似ていることからその名がついたそうです。 スプレーの材料:純米酢500ミリリットル、ニンニク3片、唐辛子5~10本切る。ニンニクは潰し、酢に漬け込み1ヶ月置き、1~2ミリリットルをスプレーボトルに入れて水500ミリリットルを加えて薄め、葉にスプレーします。 また、発芽したばかりの茎や二葉の茎が根元から倒れているとの害虫ネキリムシの話もよく聞かれます。置き草を株周りに敷いて、その下に集まっている幼虫を取り除くなど工夫をしています。 |
6.収穫時期 |
●収穫は、開花後40日程度で、花托の裏が黄色みを帯びてきた頃が収穫適期です。 ●あまり長く放置すると、鳥害や病気による被害が発生します。 ①成熟期に入る前に収穫する 本来は開花後50日程度で成熟期になります。成熟期間際になると鳥による食害が大きくなることがありますので、これを回避するために早期収穫(開花後、約40日後)が有効です。 |
開花~30日後 | 脂肪酸の組成が成熟期と同等になる |
~35日後 | 子実重量が成熟期と同等となる |
~40日後 | 含油率が成熟期と同等となる |
~50日後 | 子実水分が次第に減少していくが、花托の水分は成熟期前にはほとんど減少しない |
播種時期 | 5月8日 | 5月18日 | 5月28日 |
開花期 | 7月14日(67) | 7月19日(61) | 7月27日(60) |
草 丈 | 140センチ | 170センチ | 175センチ |
成熟期 | 9月4日(119) | 9月2日(106) | 9月6日(101) |
収穫可能時期 | 8月26日 | 8月24日 | 8月28日 |
()内は播種後の日数
引用:福島県農業センター資料 2008. 油糧用ヒマワリの栽培と収益性
7.収穫方法 |
●必ず晴天の日に行います。 ●通常頭花部を10センチほど残し、鎌やハサミで切り取り収穫します。 ●前日に雨が降ったなど、花が湿った状態で刈り取るとかなりの確率でカビが発生してしまいます。 ・花托から実を外し、実(種)だけを新聞紙に広げ急ぎ風に当てると乾くのが早い。(扇風機使用あり) Q&A Q,収穫後の残茎処理はどうしたらよいか A,ヒマワリの実を取った後の茎は、速やかに土の中にすき込む(埋める)のが良いでしょう。ヒマワリは、マメ科の植物とともに、良い畑の土を作る方法として植物を栽培しそのまますき込むための緑肥作物として利用されています。ゴミとして処分せず土づくりに役立てましょう。ただし、空洞病※1や菌核病※2が発生した株は次作の発病源になるので、土にすき込まずに処分します。
※1空洞病…ペクトバクテリウム カロトボラムという細菌によって発病する。気温25~30度と高温を好み傷口から入り、茎の表面が暗褐色になり軟化腐敗させ悪臭を放つ。 ※2菌核病…カビの一種である菌類が寄生した植物の病気。菌核とは寄生した植物組織内や土壌に菌糸が密集してできた塊のことだが、この菌は様々な植物に寄生しヒマワリは茎に出やすい。比較的低温時に発生しやすい。茎を褐色・黒色に変化。抜き取り焼却する。 |
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8.乾燥 |
●収穫後は風通しの良い物置や倉庫、ハウスに新聞紙やシートを敷き、まず花托ごときれいに並べて数日間乾燥させます。 ・前項でも記載しましたが、雨の後はカビやすいので、実(種)を花托から外して乾燥させることが懸命です。 ●軒下などの野外で乾燥させる場合は、鳥害や雨に気をつけてください。 ●できるだけ一日おきに表裏をひっくり返し、まんべんなく乾燥させます。 ●花托の中を切り開き(花の裏)、中のスポンジ状の部分を取り除くとより効果的です。 |
9.採種 |
●十分乾燥させたら、花托から脱粒し、種子を取り出します。 ●油分の付着による汚れやケガの心配があるので、軍手をして作業してください。 ●量が多い場合 協力者の皆さまからお寄せいただいた方法をご紹介します。 ①金属製の網にこすりつけて取る方法もあります。中でも魚焼き用の網が一番効率が良いそうです。 ②ビールケースを逆さにし、大きなビニール袋で下から覆って底面部分にこすりつけます。取れた種は袋に集まるので、手間も省けます。 ③かまぼこ板くらいの板でヒマワリの実も簡単に外せます。 |
10.栽培別のポイント |
10-1.プランターでの栽培●一般的なプランター(幅65センチ×奥行25センチ×高さ20センチ)では、中央一本植えでも奥行と高さが足りず、根を張る広さが取れないため丈は最大で30~40センチほどで、花托もかなり小さくなってしまいます。このことをあらかじめご承知いただき、左右に植えるのが最適かと思います。できれば深型(30センチ)のものがおすすめ。ひまわりは直根が30センチ伸び、横根も同じく伸びます。 ●芽が出て、草丈が10センチ以上になったら2週間に1回のペースで株周りに追肥します。 ●開花の頃、花の周りに受粉を助けるハチや昆虫がいない場合、茎を揺らして受粉を促してください。
10-2.休耕地・庭・花壇での栽培●雑草対策と土づくりのため数回耕します。 ●土壌の栄養条件にもよりますが、標準施肥量は以下の表の通りです。全量元肥とし、追肥はいりません。ただし、初期生育が悪い場合は追肥を行い、雑草発生が多い畑では、全量追肥も検討してください。 ●耕作放棄地の場合は、雑草すき込みによる残存窒素も考えて、施肥量を増減してください。 ●平らな畑や、水田の転換畑の場合は周囲に溝を切り排水対策を十分に行います。 ●畝立てが出来れば理想的です。 |
10アール 当たり |
資 材 名 | 散布量 (キログラム) |
成分量(キログラム) | ||
窒素N | リン酸P205 | カリK20 | |||
元 肥 | 化成肥料 | 80 | 6~9 | 10~15 | 6~12 |
石 灰 | 80~100 | - | - | - |
(県農業センター資料より)
※化成肥料は成分8-10-8の場合
※10アール = 1,000平方メートル 10メートル×10メートルの広さなら100平方メートルなので、1アール=上記施肥量の1/10となる
11.種の返送 |
●種の腐敗を防ぐため、十分に乾燥させてからお送りいただきますようお願い致します。 ●少量の場合:新聞紙で包んで小箱で、またはジップロックなどにまとめたものを封筒に入れて送付 ●大量の場合:米袋などの通気性の良い袋に入れ、場合によっては袋ごとダンボール箱い入れて送付 ●福島からお送りした種が残った場合はビニール袋に入れて保管し、みなさまの地域で収穫した種の中に直接混ぜることはしないでください。 ・残った種はビニール袋ごと冷蔵庫で保管し来年時に蒔くこともできます。福島に戻される方は、ビニール袋に入れたまま収穫された種と分けてお送りください。 送付先 〒960-8141 福島県福島市渡利字鳥谷下67-1 ベーシック憩内ひまわりプロジェクト係 |
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12.お問い合わせ |
栽培中ご不明な点がございましたら、以下にお問い合わせください。栽培技術に関しましてはアドバイザーに確認の上ご返答いたします。 ひまわりプロジェクト事務局(宍戸:070-5474-4166) |